社会的な心理考察記

社会に働く心理について考察したブログです。

消費者トラブルにも似たやりがい搾取(前編)

前回までの内容で、やりがい搾取についての全体像が整理できたと個人的には思っているのだが、皆様はどうお感じだっただろうか。 今回は再び、「やりがい搾取」の定義における前半部分へ話を戻してみたい。 実際はルーチンワークであるのに、やりがいを吹聴…

やりがい搾取の仕組み(後編)

前回、ブラック企業などはやりがいを吹聴することで、労働者に過重な労働を負わせることを書いた。そして、過重な労働を負わせるうえに給与まで削減するということも行われる。 しかし、なぜこのようになるのだろうか。やりがいの吹聴で過重な労働を負わせる…

やりがい搾取の仕組み(前編)

まず最初に、脱社畜ブログの内容をはじめ日野氏の主張の屋台骨になっている、「やりがい搾取」について述べてみたいと思う。 やりがい搾取については、有名アイドルグループにまつわる話を以前に書いた。ただ、この記事を書いた時点では、「やりがい搾取」と…

労働観を定期的に投稿します

さて、公務員心理の連載は先日終了とさせていただいたわけなのだが、今後は定期的に日本人の労働観、職場での対人心理のようなものを投稿していきたいと思っている。 労働観を述べるにあたっては、日野瑛太郎氏の脱社畜ブログというものが大いに参考になって…

大阪桐蔭の裏金問題に受験時代の記憶を絡めてみる

今後、定期的に理論を発信させて頂くことを述べたのだが、その前にこの話題について触れてみたい。 昨今のニュースで、大阪桐蔭の裏金問題の進展が報じられている。先日は実質創業者の前校長が刑事告発された、という段階まで進んでいる。 結論として思うこ…

連載終了の雑感

今年の年始から、数日の穴は空きましたがほぼ毎日連載を続けることができました。 それほど多くの方にお読み頂いた実感はないのですが、連載を始める前に週1回程度で更新していた頃に比べれば、アクセス数もほどほどに増加したかなという感覚です。読者の皆…

平たく解説・公務員心理 「キャリア制度」その7

[今回の心理場面] キャリアA、ノンキャリアB:結局、キャリア制度って何かと合理的でない部分が多いし、なくしたらいいんじゃないの? ---------- キャリア制度により生じる弊害への改善案としては、ここまでの内容を考えると、やはりキャリア制…

平たく解説・公務員心理 「キャリア制度」その6

[今回の心理場面] キャリア部下A:また専門知識のない幹部がやってきた…レクチャーに時間を取られ過ぎるから嫌なんだよ。。 ---------- キャリア制度で生じる専門知識の不足による弊害として、幹部へのレクチャーについて述べていきたいと思いま…

平たく解説・公務員心理 「キャリア制度」その5

[今回の心理場面] キャリア部下A:踏み込んだ政策立案をしてみても、上司などがあれこれ口を出すから、踏み込んだ部分が削られる一方だ… ---------- キャリア制度で生じる専門知識の不足による弊害について、続けて述べていきます。 (2)政策…

平たく解説・公務員心理 「キャリア制度」その4

[今回の心理場面] キャリアA:頻繁な異動により専門知識がないし、この政策立案はどう行えばいいんだろう? とりあえず議員などの言うことをそのまま聞いておけばいいか… ---------- キャリア制度により生じる具体的な弊害について、続けて述べ…

平たく解説・公務員心理 「キャリア制度」その3

[今回の心理場面] キャリアA:自分は幹部候補にふさわしい人間じゃないと思うんだが、それでも頻繁な異動をさせられて、業務への責任を全うできないよ… ---------- キャリア制度により生じる具体的な弊害について、続けて述べていきたいと思いま…

平たく解説・公務員心理 「キャリア制度」その2

[今回の心理場面] ノンキャリアA:一部のキャリアの人間よりよっぽど仕事ができていると思うんだが、それでも入省時の成績で身分が固定されるんだよな… ---------- キャリア制度の弊害について、前回はざっと見てみましたが、今回よりその内容を…

平たく解説・公務員心理 「キャリア制度」その1

[今回の心理場面] 役人A:うちにはキャリアの人間がいるけど、採用時の成績だけで特権的に扱われるのって、どうなの? ---------- 中央省庁における「官僚」と呼ばれる方については、どのようなイメージをお持ちでしょうか? 官僚は「キャリア」…

平たく解説・公務員心理 「天下り」その7

[今回の心理場面] 官僚A:出世が途絶えたから外に出たいと言っても、外部の組織じゃなくて、他の省庁でもいいんじゃないの? ---------- 天下り対象者のメンツの問題については、そもそものメンツが発生するのを軽減する枠組を考えることも必要…

平たく解説・公務員心理 「天下り」その6

[今回の心理場面] 官僚A:行く先のない年長の人と同じ役職で仕事することになったけど、違和感がありながらも割り切らないといけないか… ---------- 親省庁による再就職先のあっせんを禁止したとしても、天下り対象者が組織の内部へ残り続ける、…

平たく解説・公務員心理 「天下り」その5

[今回の心理場面] 国民A:天下りがあって、民間企業、特にインフラ企業との癒着なんて生じれば、大問題につながるんじゃないのか… ---------- 天下りへの改善案としては、まずは親省庁による再就職先あっせんの禁止から始まることになります。 …

平たく解説・公務員心理 「天下り」その4

[今回の心理場面] 省庁A:天下りじゃないと再就職できない人が、天下り先に貢献できることはないだろう。そんな人が多いし、天下りの制度自体でメリットなど期待していない。 ---------- 今回は、天下りのメリットを考えてみたいと思います。メ…

平たく解説・公務員心理 「天下り」その3

[今回の心理場面] 国民A:天下り先は意義の薄い組織なのに、そこへ相応の予算が流され続けるのは、明らかな無駄では… ---------- 天下りは、天下り対象者が所属する\親省庁によって、再就職先をあっせんされて行われる\のが基本となっています。…

平たく解説・公務員心理 「天下り」その2

[今回の心理場面] 国民A:天下りをする人には、メンツを守ってあげた上に高い給料も支払っているというのでは、納得できるはずがない…。 ---------- どの組織でもそうですが、ポストというのはトップを頂点として先細りになっているため、どうし…

平たく解説・公務員心理 「天下り」その1

[今回の心理場面] 国民A:国が何か新しい組織を作っても、天下り先じゃないか?としか思えないな… ---------- 天下りについては、大きな害悪として頻繁に見聞きするものでしょう。 ただ、なぜ天下りがなくならないのか、中央省庁では天下りをや…

平たく解説・公務員心理 「増加する予算、過剰な省益追求」その12

[今回の心理場面] 省庁A:内閣にも、他の省庁と共同で政策へ取り組めるような枠組が、少しはあってもいいのかもしれない。 ---------- 過剰な省益追求への改善案の外的なものについて、「内閣横断組織」という概念について続けて述べていきたい…

平たく解説・公務員心理 「増加する予算、過剰な省益追求」その11

[今回の心理場面] 官僚A:評価基準がはっきりしてないから、過剰な省益追求につながる行動が行われてしまうんじゃないの? ---------- 過剰な省益追求への改善案の外的なものについて、続けて述べたいと思います。 <外的なもの>5.人事評価基…

平たく解説・公務員心理 「増加する予算、過剰な省益追求」その10

[今回の心理場面] 官僚A:議員からの要望、先輩のやってきたことに対しても、襟を正して自身の考えを通すのが大事だろう。 ---------- 過剰な省益追求への改善案の内的なものについて、続けて述べたいと思います。 3.議員や業界団体への対応の…

平たく解説・公務員心理 「増加する予算、過剰な省益追求」その9

[今回の心理場面] 省庁A:末端の人事はうちでやりたいが、幹部の人事は一元化の組織へ委ねようか… ---------- 過剰な省益追求を生み出す慣習について、ここまで述べた内容に即して、改善案を考えてみたいと思います。 その改善案としては、構成…

平たく解説・公務員心理 「増加する予算、過剰な省益追求」その8

[今回の心理場面] 官僚A:とにかく、先輩の顔に泥を塗るようなことはしたくない…。 ---------- 過剰な省益追求の原因と考えられる霞が関での慣習について、4つめとなる「先輩の面子を潰せない文化」について述べていきたいと思います。 4.先…

平たく解説・公務員心理 「増加する予算、過剰な省益追求」その7

[今回の心理場面] 官僚A:議員からの話へは、とにかくいい顔で対応しておこう。自分たちの省益追求を助けてくれるかもしれない。 ---------- 過剰な省益追求の原因と考えられる霞が関での慣習について、その3つめとして「議員や業界団体へいい…

平たく解説・公務員心理 「増加する予算、過剰な省益追求」その6

[今回の心理場面] 省庁A:うちで採用されてうちで人事評価を受けるんだから、他省庁は関係なくうちの都合を第一に考えるのが当然だろう。 ---------- 過剰な省益追求の原因と考えられる霞が関での慣習について、その2つめとして、今回は「各省…

平たく解説・公務員心理 「増加する予算、過剰な省益追求」その5

[今回の心理場面] 省庁A:常に天下り先を作ることを意識して、組織資源の追求を行うように。 ---------- ここまで述べてきた過剰な省益追求は、その原因の根が深く、解決が容易ではないものと考えられています。 ただ、霞が関で維持されていると…

平たく解説・公務員心理 「増加する予算、過剰な省益追求」その4

[今回の心理場面] 省庁A:うちが担当できそうな政策課題があるなら、省益を増やすためだ、必ずうちの担当にしてみせるぞ。 ---------- 各省庁の割り振り争いの場面においても、省益追求の意識が大きく入り込みます。ここには縦割り意識も絡んで…

平たく解説・公務員心理 「増加する予算、過剰な省益追求」その3

[今回の心理場面] 省庁A:財務省は省庁ごとに予算を適切に調整できていないし、一律で扱われるならいっそ、無駄な予算も盛り込んで要求してしまおう。 ---------- ここまで述べてきた過剰な省益追求ですが、今回はそれが生じる具体的な場面を見…