平たく解説・公務員心理 「天下り」その7
[今回の心理場面]
官僚A:出世が途絶えたから外に出たいと言っても、外部の組織じゃなくて、他の省庁でもいいんじゃないの?
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天下り対象者のメンツの問題については、そもそものメンツが発生するのを軽減する枠組を考えることも必要となりそうです。今回はその方策について述べてみたいと思います。
1.役職の階層の減少
中央省庁においては、役職の階層が必要以上に細かく設定されているような節があります。
そして天下り対象者は、それまでの出世で積み重ねてきたメンツを持っているのですが、出世を重ねれば重ねるほどそのメンツは大きくなると言えそうです。
組織において役職の階層が多く設定されていると、その分出世の回数も増えることになります。すると、「出世の階段」を登っていくという自負が強まり、メンツが相対的に大きくなるのではないでしょうか?
となると、役職の階層を少なくすることができれば、出世のスピードも遅くなり、出世の回数が減ることになるわけです。
そうすれば、メンツを多少なりとも抑えられるようになることが期待できそうです。
2.外部機関でない他省庁への出向
ただ天下り対象者で、どうしてもメンツを放棄できないという人の存在も、やはり考慮する必要があります。そうした人に対しては、やはり自省庁の外に出すことを考えるほかはなさそうです。
しかしその場合でも、外に出すというのが民間や外郭団体など外部の機関である必然性はあるのでしょうか?
おそらくそんなことはなく、もっと身近な範囲で、他省庁へ出向させるという形\することも考えられるかと思います。その形でも、メンツの軽減には有効に働くことを見込めるでしょう。
省庁間の垣根を越えたそうした人事ができれば、予算の無駄遣いや癒着といったデメリットなく、外へ出て自省庁での出世のことを忘れさせるということが期待できそうです。
「天下り」の項は以上となります。次回からは「キャリア制度」について述べていきたいと思います。
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