平たく解説・公務員心理 「公務員の消極性」その5
[今回の心理場面]
役人A:一歩踏み出して頑張っても、税金で食べてるからとそれを当たり前にされるしなあ…それで失敗しても怒られるし。。
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公務員の消極的な姿勢によって、様々な弊害が生じることをここまで述べてみました。
では、その姿勢を少しでも改善するために何が考えられるのか、ということが重要なのですが、その案についても以下考えてみたいと思います。
まず、そうした消極的な姿勢を取ってしまうことの大本の原因としては、市民が公務員に対して「税金で給与をもらっている」という意識を強く持ちすぎており、厳しい目を向けているということがあるのではないでしょうか?
その市民の厳しい目があることで、公務員が通常業務以外の業務を積極的に行っても、それは当然と捉える「業務の当然視」、通常業務での失敗はもちろんのこと、通常業務以外の業務においても失敗すれば非難されるという「失敗の冷遇」、といった心情が生じているのではないかと考えます。
この市民による業務の当然視、失敗の冷遇があるために、公務員としては通常業務以外の業務を積極的に行っても賞賛されず、そうした業務でも失敗したら責任がかかってくる…という状況に置かれます。
そうなると、慣れていて失敗の恐れのない通常業務のみを行い、通常業務以外の業務は責任を負う恐れが強いため手を出したくない…といった心理につながっていくわけですね。
また、業務の当然視、失敗の冷遇を受ける中では、行政組織の内部における空気自体が、それに合わせたものとなります。通常業務のみをこなすことを是として、通常業務以外の業務には手を出さないのが当たり前、という悲しい風潮に染まってしまうわけです。
そして、行政組織の中でおかしな制度、慣習があっても、それに従うことが通常業務であり、それを改めることは通常業務以外の業務であると認識されるために、そうした制度、慣習が改められることもなかなか期待のできないことになります。
意欲のある構成員がそれを改革しようとしても、まず組織全体の空気に抵抗する必要があります。さらには、改めたところで組織における人事評価を得られるわけでもなく、それで改革の意欲を失ってしまう、という負のスパイラルにどっぷりはまってしまうという構図にもなります。
おそらく、大元のところで市民が公務員へ厳しい目を向けないようにすれば、こうした状況は改善されるのでしょう。しかしながら、市民、国民全体に意識を変えてもらうのはそう容易なことではなさそうです。
そのため、行政組織内でできる改善案を検討することとして、これを次回で述べたいと思います。