社会的な心理考察記

社会に働く心理について考察したブログです。

平たく解説・公務員心理 「過剰な説明責任」その4

 [今回の心理場面]
 下位機関A:予算が費目ごとに細かく査定されているから、柔軟な使い方ができないな…。

 

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  上位機関が下位機関の予算の支出に対して「過剰な説明責任」を問うことにより、以下のような重大な弊害が生じることも考えられます。

 

2.査定と評価における過剰な説明責任
 先に述べた、直接経費を始めとして「過剰な説明責任」を追求する意識は、行政組織の予算の査定と評価においてまで大きな弊害を及ぼすのではないか、ということを提起したいと思います。

 これは、過剰な説明責任を問い過ぎても、膨大になる業務量との兼ね合いによって説明責任を問いきれない部分が出てくる、というジレンマに端を発するものです。

 

 予算制度の中では、予算をどんなものに使う予定かという「査定」と、どんなものに使ったかという「評価」において、過剰な説明責任の追求が行われやすいと言えます。
 予算においては、配分する際の査定と、執行を終えた後の評価のいずれもが適切に行われることが重要となります。しかし、ここで過剰な説明責任の追求が行われることで、望ましくない事態が起きると想定されるわけです。

 

 行政組織においては、予算の査定に際して、予算の費目ごとに渡る詳細な査定が行われるといったような形で、過剰な説明責任が追求されているように見受けられます。

 このような詳細な査定が行われると、予算を使う側としてはどうなるでしょうか? 予算が費目ごとに厳密に分けられるという縛りによって、執行にあたって不都合な部分が出てくることもあり、息苦しい思いをすることになってしまうのは避けられません。
 そうした縛りから逃れることを理由として、うまく費目をごまかすなどのテクニックが横行したり、時には裏金を生むことでの別費目への流用などが行われることもあるでしょう。 


 このような過剰な説明責任を問う結果としての「説明責任の空白」について、次回は述べてみたいと思います。

 

【文庫】 裏金(ブラックマネー) (文芸社文庫 み 2-12)

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