社会的な心理考察記

社会に働く心理について考察したブログです。

平たく解説・公務員心理 「公務員の消極性」その7

 [今回の心理場面]

 部下A:この業務が一歩踏み出さないとできないことで、通常の業務とは別に扱われるべきものと考えます。

 上司B:その業務をこなせば人事評価を高めよう。その範囲の見直しも適宜行っていこう。 

 

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 必須業務と剰余業務の分類において、必須業務の範囲については、それを故意に狭めれば楽をすることができます。なので、独善的に必須業務の範囲を狭めることのないような対策が当然に求められ、それは組織、上司から定期的な確認を受けることになるでしょう。

 

 そしてこれもまた当然ながら、必須業務と剰余業務の分類は曖昧なものとならないように、厳密なケーススタディーを行うことも必要になるでしょう。
 行政組織が管轄する業務は、社会の変遷によって変化していきます。そう考えると、必須業務と剰余業務の分類も時宜に応じて、柔軟に見直しをかけていくことが必須になるわけですね。

 

 ただ、行政組織の内部ではこのような確認を行えば、必須業務の適正な範囲を保つことができるのですが、市民の側からするとどう映るでしょうか?

 おそらく市民にとっては、最低限の業務のことを指す必須業務というものが、その範囲を故意に狭めて楽をしようとするためのものではないか、と受け取られる恐れがあるでしょう。この問題からはどうしても逃れられず、苦しいところです。

 

 この問題へは、市民に対して「必須業務と剰余業務」の分類の意義を説明し、あくまで公務員が剰余業務を行ったときに、その成果が賞賛されるようにすることを意図するものなのだと、ただただ啓発していくほかないのではないか…と思われるところです。


 「公務員の消極性」の項は以上となります。次回からは「念のため」について述べたいと思います。

 


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変わるのはいま―地方公務員改革は自らの手で

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