社会的な心理考察記

社会に働く心理について考察したブログです。

安易な残業の多い現代にこそ、パーキンソンの法則が身に染みる

 この法則を聞いたことがあるだろうか。脱社畜ブログでも取り上げられていた話であり、自分も公務員心理の内容で取り上げたことがある。簡潔に言うと、「仕事の量はその完成のために与えられた時間を満たすように膨張する」ということだ。半世紀以上昔に提唱されたものなのだが、現代においてこそ身に染みる思いがする。

 

 自分がこの法則を取り上げたのは、行政組織に関する話である。行政組織では仕事の量が減ったときでも、人を減らすことはなく、つまらない仕事を作り出して埋め合わせるというものだ。またパーキンソン博士が主張したのは、行政組織では仕事の量が変わっていないのに人が増えることがあった、というものであり、そのエッセンスは同じものだと思う。

 

 そして現代の労働観により合致すると思うのが、脱社畜ブログで取り上げられていた話である。心が残業を許容した時点で、意義の薄い仕事、余計な仕事を入れ込んでしまうというものだ。残業を許容すれば仕事の可処分時間が増えるため、余計な仕事にも手を出そうとする意識が芽生えるわけである。

 

 いずれの内容も、余力ができればつまらない仕事に手を出すということを共通して指摘したものとなる。

 ただ行政組織の内容は、人を増やしたり減らしたりということでの余力の増減に言及したものであるため、雇用の流動化などの難しさを考えると、「そういうことはやめよう」と一般論にすることは難しいかもしれない。

 

 一般的な提言として上げられるのは、やはり脱社畜ブログの内容だろう。心が残業を許容した時点で余計な仕事を入れ込んでしまう、というものは、働く社会人全ての個々の問題となる。個人レベルでこのような戒めを持つことで、安易に残業を選択するということはいかに弊害があるか、理解が進んでいってほしいと思っている。

 安易に残業を選択する意識は持たないようにして、まず残業を前提にしないような意識を保つことで、余計な仕事を削り落とせるように努めることが重要なのだ。

 

パーキンソンの法則 (至誠堂選書)

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