社会を変化させる社会心理論・組織心理論の考察記

行政職員の筆者による、社会を変化させるような社会心理論、組織心理論がいかなるものか、その考察内容を綴ったブログです。

手待ち時間の解消に、「交代制の昼休み」が万能薬のように効く

 前回は、昼休みに業務をこなそうとする心理について述べた。そしてこの心理が、労働者の労働時間に絡む問題にもつながることになる。

 

 労働時間の算定において、「手待ち時間」という概念がある。これは労働基準法でも定められているもので、休憩時間のようでありながら、使用者の指揮下にあると認められる時間が該当する。具体的には、電話や来客対応のスタンバイをさせているような時間が「手待ち時間」とされ、この時間は労働時間に含めなければならないことになっている。

 

 となると、昼休みに業務を入れ込んでくる人へ対応する時間は、手待ち時間の性質を帯びていると言えるだろう。

 もちろん、使用者がよく言いそうな「従業員が自発的に対応しているだけ」という理屈は通らない。昼休みに業務を入れ込もうとする人から、従業員を守ろうと考えるのが筋である。

 そして、手待ち時間を除いたうえで所定の休憩時間を与えられるよう、あくまで使用者はそう努める必要があるのだ。

 

 前回に述べたような、昼休みへ業務を入れ込もうとする精神面を改善できるのならば、こうした問題はなくなる。

 ただ、組織的な精神面を改善することはいつの世も難しいもので、それができない場合は、制度を用意して改善を図ることになる。

 そして制度を考えるうえでも鉄則になるのが、従業員などの一人一人を監視する、という現実性のない案を持ち出さないことだ。あくまで現実的な案でもって、制度を運用する必要がある。

 

 ここで考えられる現実的な制度というのが、「交代制の昼休み」だ。自分は最近になってこの制度を耳にしたのだが、これを知ったときははっとさせられた。

 交代制で昼休みを取ることができれば、昼休み時間帯が休憩時間でなく勤務時間となっている人が、電話番や来客対応などを行えばよいことになる。

 

 この運用であれば、手待ち時間という大きな問題を解消できる。また、部署の同僚の業務を簡単にでも覚えることになるので、ありがちな「周りの誰がどんな仕事をしているかわからない」という切ない事態を回避することにもつながる。

 さらには、同僚が自分の業務を簡単にでも覚えてくれることで、「業務を他の人へ任せにくい」という悲しい理由で年休を取りづらくなる事態にも、改善が図れるだろう。こう書いてみると、思わず疑ってしまうほどにいいことずくめである。

 

 この制度は、手待ち時間の解消をはじめメリットが盛りだくさんなのであるが、もちろん万全なものではなくデメリットもある。

 従業員の休憩時間がずれていることで、両者で意思疎通の取れない時間が最大で2時間に及んだりする。また、通常の昼休み時間帯でないところが休憩時間になる人は、周りが仕事している中ではデスクで休憩しづらいというのもある。外出することを余儀なくされたりするだろう。(休憩室があればよいのだが)

 とはいえ、メリットの大きさはこうしたデメリットをはるかに凌駕していると個人的には思う。

 

 このように有効な制度を画策するところだが、あくまで最大の理想は、昼休みに業務を入れ込もうとする精神面を改善することだ。そしてそれが容易でないということを前提に、交代制の昼休みという制度が浸透していってもらえたらありがたいと思っている。