社会的な心理考察記

社会に働く心理について考察したブログです。

平たく解説・公務員心理 「増加する予算、過剰な省益追求」その11

 [今回の心理場面]
 官僚A:評価基準がはっきりしてないから、過剰な省益追求につながる行動が行われてしまうんじゃないの?

 

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  過剰な省益追求への改善案の外的なものについて、続けて述べたいと思います。

 

 <外的なもの>
5.人事評価基準の明文化
 ここまで述べてきた慣習については、それを求める個々の意識が積み重なることで、省庁全体として過剰な省益追求を行うことが省是となっています。

 

 そしてさらには、組織の意思は人事評価の基準も形作るもので、中央省庁も例に漏れずそうした省是が人事評価の基準を形作っていると言えそうです。

 ここまで述べた内容から、その人事評価の基準には、自省庁の組織資源をいかに獲得したか、天下り先作成の組織資源をいかに獲得したか、議員や所管業界の要望をいかに叶えたか、先輩の面子をいかに守ったか、といった点が含まれるわけですね。

 

 また、議員や所管業界の要望をいかに叶えたかという評価基準は、議員や所管業界の側からも、評判という形で不透明な影響を受けることもあります。

 

 ただこうした内容は後ろ暗いものであり、人事評価の基準として明文化できるようなものでしょうか? そんなはずはありませんよね。

 

 こうした明文化できないような基準で人事評価が行われるのは避けるべきであり、そうした人事評価をしないためには、明文化させた評価基準を盛り込むことが求められるでしょう。
 明文化された評価基準があれば、こうした悪しき基準が入る余地が少なくなり、排除していくことが期待できるわけです。

 

 組織では、「あの人はなんとなくできる」といった表面的なイメージのもとで人事評価が行われることもよくあるでしょう。
 しかしそうした表面的なイメージは、明文化できない基準で測られてのものであることが多いのかと思います。そうした形での人事評価は行われないようにすることが望まれます。

 

 明文化した評価基準を設けて、正しい根拠でもって人事評価を行うことができれば、過剰な省益追求が軽減されることも期待できると言えそうです。

 

6.予算の説明責任の均等化
 これは「過剰な説明責任」の項で述べた改善案ですが、予算に対する過剰な説明責任の追求を正すことで、まともに予算の評価が行われないことや、まともな査定が行われない予算が生じることを改善していくことも望まれるところです。

 

 こうした改善が行われれば、適正な査定を行ったり、予算執行への適正な評価を厳然と行えるようになることが期待できます。
 そして、過剰な省益追求によって、適正な執行ができないような予算を要求する動機を軽減できるものと言えるでしょう。

 
 次回も続けて、過剰な省益追求の改善案について見ていきたいと思います。

 

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