社会を変化させる社会心理論・組織心理論の考察記

行政職員の筆者による、社会を変化させるような社会心理論、組織心理論がいかなるものか、その考察内容を綴ったブログです。

平たく解説・公務員心理 「増加する予算、過剰な省益追求」その3

 [今回の心理場面]
 省庁A:財務省は省庁ごとに予算を適切に調整できていないし、一律で扱われるならいっそ、無駄な予算も盛り込んで要求してしまおう。

 

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  ここまで述べてきた過剰な省益追求ですが、今回はそれが生じる具体的な場面を見ていきたいと思います。


 その場面としては、各省庁の予算要求と、各省庁の割り振り争いでの2つのケースが考えられます。

 

1.予算要求における省益追求
 各省庁の予算要求に対しては、その調整が適切に機能していないことがしばしば指摘されています。
 その結果、中央省庁の全体的な組織構造として、同じレベルにある各省庁が横並びで予算要求を行うこととなっているようです。

 

 その要求に対しては、予算配分を行う財務省によって適切な調整が行われているんじゃないの?と思いますよね。

 

 しかし…財務省による調整は、残念ながら十分に機能していないこともまた指摘されているのです。
 「過剰な説明責任」の項で述べたように、予算の査定の手続を厳密に行い過ぎることで、かえって全体的なチェックが効かないという状態に陥っているのかと思われるところです。

 

 そのために、各省庁の要求額がほぼそのまま通ってしまう、あるいは各省庁の要求額に対して一律の削減幅が適用される、といった弊害が生じてしまうのです。あくまで各省庁を横並びで扱うというわけです。

 

 要求に対してメリハリをつけて調整がなされるのであれば、無駄な予算は削減されそうなので要求せず、自信のある予算のみを要求することが期待できます。
 しかし、予算の内容に関わらず、あくまで他省庁との横並びでもって扱われるのならば、無駄な予算が認められる可能性も出てきます。

 

 「無駄な予算は盛り込まない」と自分だけ正義感を持っていても馬鹿を見ることになるので、無駄な予算も盛り込んでとにかく多めに要求を行っておこう、という心理が誘発されるわけです。

 

 そうなると、各省庁から全体のバランスを考えない要求が行われることが避けられず、中央省庁全体で過剰な省益追求が行われる、ということが言えるのです。

 
 次回は、割り振り争いの場面における省益追求について述べたいと思います。

 

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