平たく解説・公務員心理 「予算の使い切り」その4
[今回の心理場面]
下位機関A:予算の余りには、非合理的な結果と合理的な結果を判別するような、一定の基準を設ければいいんじゃないの?
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先に述べた、予算に使い切りにおける3つの不適切な考え方について、それぞれに対応する形で、改善案として考えられる概念を述べたいと思います。
1.緩衝額
予算の余りを非合理的な結果として見てしまうことについては、合理的な結果として出る予算の余りの存在を認識することが必要です。合理的な結果として余った部分については、柔軟に繰り越すことを認めるべきでしょう。
ただ、非合理的な結果としての予算の余りまで繰り越すことができてしまうと、過大な予算要求や、無計画な予算執行によって予算の余りが生じるのを助長することにもなります。
そのため、非合理的な結果による予算の余りは取り締まるべきであり、こうした予算の余りは繰越をさせず確実に返納を行わせることも必要となるでしょう。
そして、この合理的な結果による繰越、非合理的な結果による返納、という両者に対応するための考え方として、以下のように「緩衝額」の考えを提起したいと思います。
緩衝額の考え方としては、節約努力による残額の創出、予期せぬ事態による残額の発生に備えて、緩衝の役割を果たす金額を予算の一定の割合で定めておくことを考えます。この一定の割合の部分を、「緩衝額」と呼ぶこととします。
この考え方から、予算に余りが出ても緩衝額の範囲内であれば、合理的なものと見なして無条件に繰越を認める、そして緩衝額の範囲を超えて余りが出た分は、非合理的なものと見なして原則返納を求める、という考えを導けるのではないでしょうか?
ただ緩衝額の考えがあっても、返納をしなくて済むようにと、なんとか緩衝額のみを残らせるように予算を使おうとすることは想定されます。しかしこうしたことが生じた場合においても、0円になるまで使い切りを行おうとするよりは、いくぶんは予算執行の効率性が上がると考えられるわけですね。
この点で、緩衝額を導入することには意義があるものと考えるのです。
予算の執行に関しては、このような考え方を持つことが重要であり、緩衝額の範囲で繰越を行っている分には、余っている、不要だ、という目を向けないようにすることが望まれるところです。
不適切な考え方への改善案については、次回にその2つめを述べていきます。
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