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社会を変化させる社会心理論・組織心理論の考察記

行政職員の筆者による、社会を変化させるような社会心理論、組織心理論がいかなるものか、その考察内容を綴ったブログです。

平たく解説・公務員心理 「念のため」その10

 [今回の心理場面]
 役人A:10割の精度を求めれば3倍も時間がかかるなら、8割の精度で仕事してればいいんじゃないの?

 

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 最後に、具体的な数値を算出することで、念のための意識、過剰な信憑性を追求する意識の実証を行うことを試みたいと思います。具体的な数値が出てきますので、インパクトが強いものと考えています。

 

3.数値による非効率の実証
 念のための意識、過剰な信憑性を追求する心理を表すものとしては、「8割の精度でいいところに10割の精度を求める」という表現がよく言われるものではないでしょうか。
 10割の精度があれば全ての責任の芽を摘めることにはなりますが、果たしてこの場合には、8割の精度を求めたときと比較して、どれほどの余力の差が生まれることになるのでしょう? その検証を行ってみたいと思います。

 

 このことを考えるにあたって、仕事の精度をテストの点数に置き換えて考えてみたいと思います。

 

 10点満点のテストで8点を取るための労力と、10点を取るための労力を考えます。そしてテスト範囲の知識は全部で12問分あるとし、1問1点とします。
 この条件について、組み合わせ数を表す「C(コンビネーション)」の考えを用いて計算を行ってみましょう。

 

 計算過程は原著のコラムに譲らせて頂きますが、8点を取るための労力と10点を取るための労力では、3倍の差が生まれることになるのです。

 

 現実はこのようなテストの理屈をそのまま当てはめられはしないと思いますが、上記の数値を業務における8割の精度と10割の精度を求めるときに置き換えてみると、その労力には3倍の差が生まれる、ということが導けます。

 

 これを具体的な労働時間として示すと、8割の精度を持たせるためには1日の労働時間を8時間として、そのうち2時間分の業務量を費やすことで6時間分の余力が残ることとなります。

 しかし10割の精度を持たせるためには、6時間分の業務量を費やすことが必要なために、残る余力は2時間分となり、余力が1/3に減少してしまうこととなります。

 

 労働者にとって、このような余力の時間の差は相当に大きなものですよね。
 このような差の積み重ねによって、労働時間、ひいては残業時間が大幅に増すことになるのが容易に想像できるかと思います。

 

 以上により、8割の精度を求めるときと10割の精度を求めるときとで、いかに労働コストに差が生まれてくるかということに、一定の目安をつけて頂ければ幸甚です。

 そしてこれほどの差があることを考えて、基本的な姿勢としては8割の精度を求めて業務を行うことが重要であり、仮に残りの2割で何か問題が生じたとしても、このような労働コストの差を考えて「そこまで手を回すのは合理的ではない」という割り切りを堂々と持つことが望まれるところです。

 
 「念のため」の項は以上となります。次回からは「割り振り争い」について述べていきたいと思います。

 


原著「公務員心理15の謎を解く 第二章」
http://www.amazon.co.jp/dp/B00LDU71USkindle版)
http://www.digbook.jp/product_info.php/products_id/17921 (pdf版)

 

公務員人事の研究―非効率部門脱却の処方箋

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