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社会を変化させる社会心理論・組織心理論の考察記

行政職員の筆者による、社会を変化させるような社会心理論、組織心理論がいかなるものか、その考察内容を綴ったブログです。

平たく解説・公務員心理 「念のため」その7

 [今回の心理場面]
 役人A:旅費の計算は細かく計算するか、簡易な計算を取るか、どちらかを選ぶしかないような?

 

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 旅費の実費支給と定額支給の選択において問題となるのが、定額支給では支給額について厳密な裏付けが取れていない、ということです。厳密な裏付けがないと、信憑性が不足するのではないか、という心情がどうしても浮かんでしまうかもしれません。

 

 定額支給で支給される一定の金額から比較して、より安価な交通機関を使用した、より安価な宿で宿泊した、といったことは起こり得ます。すると、この状況においては浮いた金額を出張者本人が得られるという話になるわけですね。
 しかしそれでは、信憑性が不足しているような心情が浮かんでしまうものです。やはり厳密な計算を行っての実費支給が望ましいのでは…という考えが生まれてくることにもなるでしょう。

 

 行政組織においては過剰な信憑性を追求する心理があるために、こうした煩雑さの解消と信憑性の追求のどちらを選ぶか、というジレンマに直面した時が大きな弱みとなってしまうわけです。
 実費支給の確かな信憑性への憧れを拭えない以上は、ジレンマに悩み続けることになってしまい、たちまち多大な時間を費やしてしまうということですね。

 

 そうした事態を解消するためには、何が考えられるでしょうか? それは、煩雑さを負ってもあくまで信憑性を追求するか、信憑性を追求することをある程度の段階で諦めるか、どちらかへ思い切った割り切りを行う、ということになるでしょう。そしてもしかすると、このほかにはないのかもしれません。

 

 出張の件数が比較的少ない組織であれば、あくまで信憑性を追求して実費支給を取り、出張の件数が多い組織であれば、煩雑さの軽減のため信憑性の厳密な追求を諦めて定額支給を取る…といったように、組織ごとの事情に応じて割り切って使い分けることが肝心なのだと思われます。

 

 この旅費の事例から、過剰な信憑性の追求には限界があり、業務の煩雑さを軽減するためには、過剰な信憑性をある段階で諦めなければならない、ということがよくわかるかと思います。

 皆さんはどう感じたでしょうか?

 
 次回からは、念のための意識、過剰な信憑性を追求する意識に対して、著者の考える改善案を述べていきたいと思います。

 

ニッポンのジレンマ ぼくらの日本改造論 (朝日新書)

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