平たく解説・公務員心理 「念のため」その1
[今回の心理場面]
役人A:念のため、あれもこれも確認させてください。
仕事相手B:そんなことまで聞きますか?(えらく細かいな…うんざりだ。)
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日本企業の全体に言えることかと思われますが、日々の業務において、「念のため」の意識が働くことが多々生じていないでしょうか?
そして特に行政組織においては、「念のため」の意識がきわめて強く支持されるという問題があります。「公務員の消極性」の項で述べたような、責められたくない意識が強いために、そのようになるわけですね。
そしてこの念のため、やっかいなことに往々にして構成員を精神的に疲労させる、労働意欲を削ぐ方向に向かうものであるとは言えないでしょうか。
念のための意識に囚われて業務を行うことは、厳密さを求め過ぎることにつながり、非常に長い時間がかかってしまいます。そして、この念のための意識による長時間の労働は、構成員にとっては往々にして意義が感じられず、非生産的なものとなってしまうように感じられます。
念のための意識というのは、本来の意味では慎重さを期すためのものであるが、いたずらに業務量を増やすものという意味合いが強い、と言っても差し支えはないでしょう。
念のための意識による行動を形容すると、「厳密さが過ぎる、大勢に影響しない、堅苦しい」、およそこの3点に集約されると言えそうです。
こうした念のための意識がなぜ生じるのかを考えると、まずは周りから責められたくない意識を強く持っていることが原因となります。
そしてその意識に従って、本来は合理性のないはずの周りからの意識、要望などをも受け止めてしまうために、念のための意識に従った行動が取られている、といった背景があるものと想像されます。
念のための意識が生まれる原因として、「感情的な責任意識」という言葉を提起することとして、次回で述べたいと思います。