社会的な心理考察記

社会に働く心理について考察したブログです。

育児中の女性へ安易に残業を求めようとする上司はいただけない

 タイトルについて、自分は男性だが二人の育児をしている立場から、女性目線に立った提言をしてみたい。

 

 仕事においては、業務の進捗が少しばかり重いものになったからといって、育児中の女性に対しても「子供の世話はあるかもしれないけど、この状況なら残業もやむ無しで…」みたいな雰囲気が安易に生み出されることはないだろうか。

 しかし、小さな子供がいるとそうなのだが、子供を預けっぱなしにして残業するというのはまず不可能だ。保育園は、親が1時間も2時間も残業することを想定した閉園時間にはなっていない。(そうなっているところもあるが保育料は高額だ。)また子供が小学校に上がってから、学校が終わった後に学童保育へ預けていたとしても、これも親が1時間も2時間も残業することは想定されていない。

 

 なので育児中の母親は、まずもって残業をすることはできないわけだ。そこへ上司が残業を求めるにしても、旦那が仕事を切り上げてお迎えへ行けることか、親が代理でお迎えに行けること、これらの点を厳正に確認してからでなければならない。そしてそれが不可能なら、残業を求めてはいけない。

 上司がなんとなくの気持ちに流されて、仕事が大変になりそうだし残業を…なんてことはまず言ってはいけないのだ。育児中の母親へ安易に残業を求める上司は、保育園や学童保育の時間への知識を持っているのか、非常に疑わしい。たぶん持ち合わせていないのだろう。

 

 業務の進捗が重いものになったからといって、育児中の女性には残業を命じないように、上司が冷静さを保つ必要があるのだ。こればかりは、育児などの事情のない人で頑張って処理してもらうしかない。また以前に書いたような、部署の範囲や管轄業務の枠を取り払って、応援人員を頼むということも考えられる。

 

 ただ、こうした育児中の女性の保護を求めたとき、決まって出てくる理屈がある。「不公平だ」… 反吐が出そうな理屈である。育児中の身なのだから、そうでない人と比べて不公平になるのが当然ではないだろうか。なぜこの両者をあくまで同等で語ろうとするのか、全く理解することができない。

 

 また、上の内容は理解のない男性の上司によるものを想定したが、既に働きながらの育児を終えた女性の上司がこういうことを言い出す場合もある。同性である分、その嫌味が強烈なものになったりもする。

 しかし、そうした人は昔ながらの価値観により、親の協力を容易に得られていたか、現代の働く女性より短時間の労働が認められていたとか、何らかの有利な点があったはずなのだ。そのことを忘れて、そうした協力を簡単には得られない人と自分のことを同列に語るのも、なかなか理解できない考え方である。

 

 現代においては、育児中の女性も相応の労働時間で働くものであり、子供を保育園などに預けられる時間も限られる。旦那や親の協力を得ることも容易ではない。これらの点を考慮すれば、育児中の女性には原則残業をさせないよう配慮することの必要性が、自明の理として導かれるわけだ。上司たちには、そのことを心に刻んでもらいたい。

 以上のことは育児中の女性を念頭に置いてきたが、自分のように保育園のお迎えを行う男性であっても同様のことは言える。奥さんがどうしても残業しなければいけない、親の協力も頼めない、という日があったときには、残業をすることができない。こうした場合に、つまらない流れで残業を求められそうになっても、全力で断っていくつもりだ。

 

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