社会的な心理考察記

社会に働く心理について考察したブログです。

部下を監視して業務管理を行うのはまずいことじゃないだろうか

 上司が部下の業務管理を行う際、その適切な方法を一口に述べることはできない。ただ一つ、部下の「監視」を行うことが正しいものかどうなのか、問題提起してみたい。これは大きく意見の分かれそうなところなので、皆さんのご意見を頂ければありがたい。

 

 上司は部下の仕事に取り組む状況を見て、業務量の増減を図ったり業務の分担を考えることで業務管理を行う。しかしあくまで、上司が業務管理を行うにあたっては、部下が上げてくる資料のみを判断材料にすべきだと個人的には思っている。

 どういうことかというと、部下が上げてくる資料だけでなく、業務中の細かな行動までを判断材料にしようとする、そんな心理が上司の中には存在するように思われるのだ。業務の本質に関係のないような、見かけ上で現れるものを捉えて判断を行うということである。

 

 業務の繁忙、閑散への向き合い方の話でも述べたが、業務に閑散期がやってきた場合は、雑務をこなすとか、雑談をするなどの形で凌いでいくのが適切な姿勢だと考えている。そこへ、雑務をしていたり雑談をしていることを見かけ上で捉えて、仕事が少ないのか?という否定的な目を向けるのが正しいこととは思えない。

 また仕事をしていれば、パソコンの画面を見たり机の上の資料を見ながら考え込んで、動きがフリーズするような行動もあったりするだろう。しかし動きがフリーズしていることを見かけ上で捉えて、ちゃんと仕事をしているのか、業務量が少ないのか、といった判断をするのもいかがなものかと思う。ひどい場合は、パソコンや書類の前で動きがフリーズしている人に対して、何を見ているのかまで覗き込んで把握しようとするような心理も存在する。業務上のこととはいえ、やはりプライバシーの側面はある程度考慮すべきであって、そこを容易に踏み越えようとする考え方は、卑しいものに思えてしまう。

 まあ、どこぞの課長かが、業務中にソリティアをしていたのを見られて減給を受けたとか、そんな話はあったが…。それでも覗き込みを行う対象は、そうした問題性が明らかに認められる職員に限定すべきで、一般的な職員にまで覗き込みを行うのはご法度だろう。

 

 人間が仕事をしているのだから、仕事中に雑談をすることもあるし、考え込んで動きが止まることもある。ましてや雑務をこなすことは、業務上で必ず必要になるものだ。そういったものを表面的に捉えて、否定的な目を向けるというのはどうにも理解できないし、仕事をする上での息苦しさを生むことにしかならないと思う。

 

 雑務や雑談をしている、机上で動きが止まっているなどの細かな行動まで確認するのは「監視」であり、こうした監視は行っていけば際限がなくなる。プライバシーの部分にまで踏み込んだ、人格攻撃にすらつながっていくこととなるだろう。いくら業務管理上の立場があるとはいえ、そんな一線を踏み越えてはいけないと思う。監視によって得たものを業務管理の材料にしてはいけないのだと、個人的にはそう考えている。