「読まれないマニュアル」にならないために必要なこと
前回は、前任者の責任感の欠如などによって分量不足のマニュアルが作られることを書いた。ただマニュアルの問題は分量不足だけでなく、分量が多すぎるということも起こり得る。
これは責任感の欠如とは言いにくいのだが、前任者が業務で経験したことを、枝葉末節も含めてとにかく羅列して書き記すことで、分量が多すぎて要点のわかりにくいマニュアルができあがる。当然ながら、要点のわかりにくい文章ほど読む気の起きないものはない。これが、「読まれないマニュアル」の要因の1つである。
対策としては、問題点が前任者の性格にあり、業務の要点と枝葉末節との区別ができないという思考を持っているので、やはり上司などの第三者により作成内容へチェックを加えることが考えられる。
前回述べた、慣れきった感覚で簡潔すぎるマニュアルを作成してしまう話も含めて、上司によって定期的にチェックを行う体制はやはり必要なのかもしれない。もちろん、短い期間に何度もチェックを受けるのは煩わしいので、年に1,2回程度にとどめておくべきだろう。
さらに、一度マニュアルは作成されたのだが、アップデートが不足しているということも問題となる。
アップデートが不足していると、読んでいてその箇所にさしかかる時に「今はもう違うじゃないか」といちいち思ってしまい、イライラを募らせることになる。イライラが募ると、その箇所以外の問題のない部分まで読む気が失せるかもしれない。こうしたことが、「読まれないマニュアル」の要因の2つめとなる。
対策としては、やはり前任者本人が定期的に内容のアップデートへ注意を払うことが必要だ。また先に述べたように、上司によって定期的なチェックを受ける体制において、アップデートについても確認を行うのがよいのかもしれない。
前回までの内容をまとめて、結論としたい。
マニュアル作成には、まず前任者のおかしな優越意識を捨てて、後任者への配慮を行うべき。50ページほどのマニュアルは残したい。
作成にあたっては、新たな業務を覚えるたびに、カーボン紙のようにマニュアルへも転記することが重要。また、分量が多すぎたりアップデートが不足するのを防ぐため、上司によって年1,2回のチェックを受けるのが望ましい。