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社会を変化させる社会心理論・組織心理論の考察記

行政職員の筆者による、社会を変化させるような社会心理論、組織心理論がいかなるものか、その考察内容を綴ったブログです。

内容の薄いマニュアルを残す前任者は、後任者への配慮が欠けている

 仕事をされている方は、このタイトルにどのようなことを感じるだろうか。

 様々な職種において、異動、転勤というものは存在する。(以下「異動」とまとめる。)そして、この異動のたびに重要となってくるものがマニュアルである。業務の前任者と後任者で、業務内容で手順に落とし込めるものについて、その手順書を作成して共有するのである。

 

 ただこのマニュアル、残念なことにその作成は軽視されることが多い。自分は行政組織で仕事をしているが、ここまで働いてきた体感としては、「ほとんど重視されていない」という表現がふさわしかったと思う。

 まるで、「本当は後任者が一から仕事を覚えないといけないけど、前任者が善意で少しだけマニュアルを残してあげる」という具合にである。

 そうした流れで内容の薄いマニュアルを受け取ると、多くのことを自分で学んでいかなければならず、知識不足によるミスが生じては落胆する…、周りの人へ多数の質問をしなければならないために仕事のできない奴だと思われる…、後任者はそんな未来図を見てしまう。

 

 この話については、どう思われるだろうか。個人的には、「本当は後任者が一から仕事を覚えないといけない」、なぜこのような前提が存在するのかは全く不思議なものである。

 おそらくは、前任者は異動が決まれば業務の責任を全て後任者へ放り投げられる、こうした意識が浸透しているのだろう。いわば後任者をコケにするような姿勢があるのだ。そして、そのような姿勢が生じる理由は次のようになるのではないかと考えている。

 前任者は後任者に比べて知識が豊富ということになるが、それを個人の能力差であるかのように捉えている、そういうことなのだろう。能力の低い者へ手を差し伸べるのは最小限でいいだろう、なんて思い上がりのような気持ちがあるのだと。それと同時に、後任者はそうした立場を甘んじて受け入れて耐え忍ぶべきだ、なんて観念もあるような気がする。

 

 前任者と後任者で能力差の話が出ている時点でおかしいのだが、両者はあくまで対等な立場であって、前任者は後任者の負担を少しでも減らそうとして、なるべく後任者を不利な立場に立たせないようにすべきだろう。その心がけが組織内を潤滑させる役割を果たすことにもなるのだ。

 「マニュアルを作成する時間がない」とはよく言われる話だが、マニュアルをひたすら後回しにする意識が前に出ている段階で、後任者への配慮不足が表れているのだと個人的には思う。

 

 ここまでは行政組織の話を念頭にしてきたのだが、行政組織は最低限の仕事をするのが常なので、そのためマニュアルが軽視されるという流れにはなりやすい。

 しかし民間企業など一般の組織に関しても、話を聞く限りではマニュアルが軽んじられているような感覚がある。民間企業であれば、後任者が知識不足であることで生まれる損失は、相対的に大きいような気がするのだが…。

 それでもマニュアルが軽んじられるのは、やはり前任者のおかしな優越意識が幅を利かせているということなのだろうか。

 

 以上マニュアルをめぐる精神面の話をしてきたが、その改善策を実践的に考えていくとして、次回に分けて述べたい。