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社会を変化させる社会心理論・組織心理論の考察記

行政職員の筆者による、社会を変化させるような社会心理論、組織心理論がいかなるものか、その考察内容を綴ったブログです。

消費者トラブルにも似たやりがい搾取(後編)

 前回は、ルーチンワークに「やりがい」のラベルを貼ることは消費者トラブルにも似た、詐欺まがいの話とも言えることを書いた。

 さらに問題になるのが、力関係の差だ。

 

 消費者トラブルでは、近年は消費者の立場が明らかに向上しているように感じる。

 昔は、店側があくどいことをしても消費者がそれに抗議したら、「営業妨害ですよ」と突っぱねられることもあった…らしい。私の親からもこのような話は数多く聞いたものであって、60歳前後の世代であれば、それが一般的だったのだと思う。さながら、経済成長の最中なのだから企業の経済活動を邪魔するな、と言わんばかりだったのだろう。

 

 しかし、近年はまったく事情が異なる。

 消費者庁が設置され消費者の保護が図られるようになり、モンスター消費者なるものが登場するほど、消費者の力は強まっている。最近の話題では、異物混入の話が消費者側の自作自演でもまかり通ってしまいそうな勢いだ。(もちろん店側の過失の場合もありますよ)

 これほど消費者の力が強まるのも問題なのだけども、昔の状況を思えば多少はやむを得ないところもあるのかもしれない。

 

 しかし経営者と労働者の話ではどうだろう?

 サービス残業や有給休暇の未消化などの話が根強く残っている状況をかんがみるに、労働者に消費者のような立場を期待するのは難しそうだ。

 そう考えると、ルーチンワークにやりがいのラベルを貼るという詐欺まがいの手法は、消費者トラブル以上にやっかいな問題だと言えないだろうか。

 

 やはり、消費者の保護が劇的に進んだように、いつかは労働者の保護が劇的に進むのを期待したいところだ。

 もちろん、行き過ぎてモンスター労働者が発生するのは問題なのだろうけど、それが発生しても多少は歓迎したくなるほど、日本において現状の労働者の立場は弱すぎると思う。

 

 やりがい搾取について、今回まで4回分の結論をまとめたい。

 ルーチンワークに「やりがい」のラベルを貼って、長時間従事させる口実を作る。さらに、上限制でやりがいと給与を足し合わせて測るという考え方を取る。そうすることで、ルーチンワークを長時間させながら給与を買い叩くという、立派なブラック企業の行動原理が成立する。

 こういう詐欺まがいの手法に対抗するためにも、消費者が劇的に力を得てきたように、労働者が劇的に力を得ることを期待したい。