社会的な心理考察記

社会に働く心理について考察したブログです。

平たく解説・公務員心理 「キャリア制度」その5

 [今回の心理場面]
 キャリア部下A:踏み込んだ政策立案をしてみても、上司などがあれこれ口を出すから、踏み込んだ部分が削られる一方だ…

 

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  キャリア制度で生じる専門知識の不足による弊害について、続けて述べていきます。

 

(2)政策立案の平準化
 (1)では、専門知識が不足していると政策立案に対して消極的になることについて述べましたが、ここでは、専門知識が不足する中で政策立案を行うことになったときに、政策が無難なものになる、平準化しやすくなることの弊害を述べたいと思います。

 

 行政組織においては信憑性を獲得するために、決裁を行う人が多くなるものです。
 これが中央省庁においては、政策立案を行うにあたって各省への協議などを行うことになれば関係者がさらに多くなる分、決裁者が多数に上ることが指摘されています。

 

 決裁者が多数に上るため、担当者が政策立案の内容を取りまとめてから、多くの幹部、または関係する他省庁へ決裁を上げることが必要になるわけです。

 しかしその際に、内容について色々な口を挟まれることがあるようです。

 

 色々と口を挟まれているとどうなるでしょうか? そうした声に対応しようとして、内容に特異なところを含めていても、それがどんどん削り落とされるということになるでしょう。
 そうすると、最終的には無難な内容しか残らないようになるわけですね。

 

 こうした事態が生じるのは、関係者がゼネラリストの扱いを受けた者の集まり、いわば素人同士であるために、お互いに口を挟みたくなるからではないでしょうか?

 

 おそらく、担当者が専門知識を身につけている人であれば、その政策立案の内容に対しては「専門知識を有する人、専門家が作成しているもの」という威厳を感じることができるように思われます。
すると、外野の素人が口を挟む気持ちが軽減されることも期待できるわけです。

 
 次回は専門知識の不足による弊害として、幹部へのレクチャーについて述べていきます。

 

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