社会を変化させる社会心理論・組織心理論の考察記

行政職員の筆者による、社会を変化させるような社会心理論、組織心理論がいかなるものか、その考察内容を綴ったブログです。

平たく解説・公務員心理 「キャリア制度」その3

 [今回の心理場面]
 キャリアA:自分は幹部候補にふさわしい人間じゃないと思うんだが、それでも頻繁な異動をさせられて、業務への責任を全うできないよ…

 

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  キャリア制度により生じる具体的な弊害について、続けて述べていきたいと思います。

 

2.異動による責任逃れ
 中央省庁では、キャリアの全体を幹部候補として扱って、その全体をゼネラリストにしようとする節があります。そのために、ゼネラリストとなる数が過剰になっているのではないか、という問題が生じています。

 

 ゼネラリストの数が過剰ということからは、キャリアの中には、本来はゼネラリストにならずスペシャリストに留まって業務に取り組むべきだった、という人がいくぶん存在することを導けるのではないかと思われます。

 

 そして、ゼネラリストであれば幹部候補として組織の全体像を把握するために、頻繁な異動を行うことが必要になるのですが、中央省庁においては、本来はスペシャリストとして留まるべき人までがゼネラリストとして扱われることで、頻繁な異動を繰り返しているのではないかと言えるわけですね。

 

 こうしたことは、どのような事態を招くでしょうか?
 本来はスペシャリストとして腰を据えて業務に取り組むべき人までが、頻繁な異動の対象となるわけですが、短期間の異動があれば、自身の政策立案に関する責任をくらませる…といった責任逃れが行われることが想像できます。

 

 中央省庁が政策の中枢を担っているという性質を考えると、このような責任逃れの姿勢による弊害の影響は、広く波及してしまうでしょう。

 

 また、中央省庁において立案される政策に関しては、長期的な目線でその経過、結果を観察することが重要だと言えます。

 しかし頻繁な移動があると、自分が担当した政策に関して、例えば5年先に思わしくない結果が出たとしても、当初の担当者は異動していて責任を問われない、という不適切な事態になってしまうわけです。

 キャリアの全体をゼネラリストにしようとすることが、こうした弊害が生じさせるという、これもキャリア制度の問題点として挙げられます。

 
 次回も続けて、キャリア制度の具体的な弊害について見ていきます。

 

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