社会を変化させる社会心理論・組織心理論の考察記

行政職員の筆者による、社会を変化させるような社会心理論、組織心理論がいかなるものか、その考察内容を綴ったブログです。

平たく解説・公務員心理 「増加する予算、過剰な省益追求」その9

 [今回の心理場面]
 省庁A:末端の人事はうちでやりたいが、幹部の人事は一元化の組織へ委ねようか…

 

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  過剰な省益追求を生み出す慣習について、ここまで述べた内容に即して、改善案を考えてみたいと思います。
 その改善案としては、構成員個々の意識を改善する「内的なもの」と、制度や枠組を設計する「外的なもの」に分けて述べられるのではないかと考えます。

 

 過剰な省益追求は様々な思惑が入り込んだ結果として生じています。そのため、改善案は多岐に渡るものとなり説明が長くなりますが、ぜひお付き合いをお願いします。

 

 <内的なもの>
1.天下りの文化の見直し
 問題点の1つに天下りの慣習があるように、構成員の個々が終身雇用の意識を薄め、天下りの慣習を収めるようにすることが必要と考えられます。

 天下り文化への改善案については、次の「天下り」の項において詳細を述べたいと思います。

 

2.各省庁個別の人事の見直し

 この点については、各省庁での個別採用を行わないようにし、また各省庁で幹部人事までの人事を行わないようにすることが改善案として考えられます。

 

 各省庁で個別に人事をさせていると、自分たちの都合に合わせた人事をしがちです。なので、省庁全体で一元化して人事を行う部分が必要なのですね。
 そのための組織を設置し、霞が関の構成員を各省個別でなく一括して採用することが求められるわけです。

 

 ただ、人事に関しては、一元化の組織よりも各省庁のほうが多くの情報を有しているという情報の非対称性が存在します。
 そのため、ある程度は各省庁で人事を行うほうが、適切な人事が可能となるでしょう。おそらく、末端の人事あたりについては、各省庁の裁量で決定させることが望ましいものかと思われます。

 

 そのため、一元化の組織が関与する範囲は、各省庁の幹部人事とすることが考えられるでしょう。

 幹部人事が一元化の組織によってコントロールされていれば、構成員が各省庁の省益を追求しても幹部にまで出世することはできなくなるため、過剰な省益追求が軽減されることが期待できるはず、というわけです。

 

 現に、このような改善案に叶うものと考えられる組織として、政府において内閣人事局の設置構想が進められ、運用されているという実績があります。

 
 次回も続けて、過剰な省益追求への改善案について見ていきたいと思います。

 

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