平たく解説・公務員心理 「予算の使い切り」その6
[今回の心理場面]
下位機関A:繰越をしても次回の予算査定に影響はないと言われるが、本当だろうか…何か客観的な資料があれば信用できるんだが。
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予算に使い切りにおける3つの不適切な考え方について、考えられる改善案の最後の3つめを述べていきたいと思います。
3.繰越と予算認定に係るデータ開示
余った予算については繰越を柔軟に行えたとしても、繰越を行うことに対して、上位機関が影の部分で悪い評価をつけてしまう恐れがあります。
これを下位機関が懸念する心理については、上位機関が積極的な繰越を呼びかけるだけでなく、繰越を行うことが今後の予算査定に影響しないことを明示する必要があると考えられます。
ただ、「予算査定に影響することはない」と単に言われるだけでは、十分に信用することは難しいのではないでしょうか? 何か客観的な資料を添えることが必要となるでしょう。
そして、その資料としては、過去の繰越額と予算査定の相関データを用意するのが望ましいのではないかと考えられるのです。
その相関データとしては、
「繰越を行った年度についての繰越率と、その繰越を行ってから次回に行った予算要求額の予算認定率」
というものを考えてみたいと思います。
この相関データの中では、繰越率に関わらず、予算認定率が一定であることが望ましいということになりますね。
もし繰越率によって予算認定率が変動(反比例)しているということになれば、下位機関としては繰越を行う動機がなくなるわけです。
その中では、上位機関が繰越を呼びかけても効果はなく、繰越を呼びかける前に、繰越率によって予算認定率を変動させることを止めるようにするべきなのですね。
上位機関としては、このように繰越率と予算認定率の相関データを開示するなどのような形で、影の部分に意識的に光を当てることが求められるところです。
「予算の使い切り」の項は以上となります。次回からは「過剰な説明責任」について述べていきたいと思います。
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