平たく解説・公務員心理 「予算の使い切り」その3
[今回の心理場面]
下位機関A:繰越の制度はあるけど、手続が煩雑だったり裏で評価を下げられたりしそうで、あまり気が乗らないな…。
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予算の使い切りにおける、予算を配布する上位機関と予算を受ける下位機関の間において生じる、不適切な考え方の続きを述べていきます。
2.柔軟な繰越の難しさ
予算の余りについて合理的な結果と見ることができれば、繰越を行うことが正当化され、繰越が認められることになるわけです。
そして現状においても、行政組織では予算の余りについては返納を求められるだけでなく、繰越を行える制度は成り立っています。
繰越を行える制度がちゃんとあるなら、それで問題ないじゃないか…そう思うと思います。
ただ、繰越を認める場合においても、行政組織ではそこへ「過剰な信憑性」を追求する意識が働くことが多いのです。そのため、「合理的な結果によって繰越を行う」ということのその合理性について、過剰なほどの説明を求められることになるわけですね。このこともまた、大きな問題なのです。
繰越ができたとしても、過剰な説明を行う必要があるとなると、手続が煩雑になってしまいます。すると自然に、繰越を行う動機が削がれてしまうことになるわけです。
3.繰越による予算要求への悪影響の懸念
また、余った予算の繰越が手続上でも柔軟に行えたとしても、繰越を行うことに対しては、非合理的な結果であっても合理的な結果であっても「予算が余った」という一点の事実を切り取られることがあるように思われます。
そして、上位機関が影の部分で「そんなに予算が必要なかったのであれば、今後の予算要求については削減させてもらう」と悪い評価をつけてしまうことも考えられるわけです。
すると下位機関としては、悪い評価によって今後の予算要求に悪影響が出ることを強く懸念する心理が生じるのは避けられないものでしょう。
繰越をしたという事実により今後の予算要求に悪影響が出るのならば、繰越を行う合理性が認められてかつその手続が容易であったとしても、繰越を行う動機が削がれてしまうわけですね。
次回は、こうした不適切な考え方に対して、考えられる改善案を述べていきたいと思います。