平たく解説・公務員心理 「不祥事への対応」その1
[今回の心理場面]
組織A:うちの職員が不祥事を起こしたので、職員全体を細かく監視していきます。
役人B:不祥事を起こした人に問題があるのに、他の人まで細かい監視を受けたら仕事がやりづらくなるよ…。
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公務員の不祥事というのは、たびたび報道されているものであり、その度に再発防止策が検討されることとなっています。
ただ行政組織においては、この再発防止策が過剰なものとなりやすいように見受けられます。このことにより、構成員の自由を奪い過ぎてしまうことになるわけで、組織としての機動性を奪ってしまうものになるのですね。
この構成員の自由を奪い過ぎるというのは、ほとんど個人の問題でしかないような不祥事に対しても、組織全体へ締め付けを加えることを再発防止策として考えてしまう、という理屈となります。
果たして、このような中では不祥事について、組織の問題であることと個人の問題であることを混合して扱っているところがないでしょうか?
整理してみると、不祥事には組織として制度の不備が存在していたという組織の問題による部分と、制度の不備がほとんどないと言える状況で、個人の怠慢(悪意)が絡んでいたという、個人の問題による部分とに分けられるのではないでしょうか?
以下においては、「原因療法と対症療法」の概念を用いて、不祥事のうち組織の問題による部分への対応策が「原因療法」、個人の問題による部分への対応策が「対症療法」であるとして提起したいと思います。
対症療法と原因療法というものは医療における概念なのですが、これは一般的な物事の道理にもしばしば通じているものだなと思うところです。
そして、行政組織で取られる考え方は「過剰な原因療法」の追求であるとして、次回以降述べていきたいと思います。