社会を変化させる社会心理論・組織心理論の考察記

行政職員の筆者による、社会を変化させるような社会心理論、組織心理論がいかなるものか、その考察内容を綴ったブログです。

平たく解説・公務員心理 「公務員の異動」その3

 [今回の心理場面]
 役人A:また異動があるし、やっかいな仕事、面倒な仕事は放っておいたらいいよね…。

 

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  行政組織で異動が多いことによる弊害として、より大きなものが「責任逃れ」の意識が生じることであると考えられます。

 

2.責任逃れ
 短い期間で異動を行う中では、専門知識が身につかないことに加えて、業務への責任感の薄さが助長されるという大きな弊害が存在しています。
 構成員が全体として、人事異動に対して「責任逃れ」という消極的な意味合いを求めてしまうということですね。

 

 そして、「異動による責任逃れ」についての分類を考えると、以下の2つになるのでないでしょうか?

 

 (1)通常業務以外の業務に手を出そうとせず、そのまま次の異動まで逃げ切ろうとすること。
 (2)通常業務以外の業務に手を出すが、短期間の異動によりその行為責任をくらませようとすること。

 

 (1)については、公務員の仕事を増やしたくない心理が、ゼネラリストの追求の慣習によって強化されているものとなります。

 つまり、公務員は基本的に通常業務以外の業務に取り組もうとしないうえに、短期間での異動の制度があるために、「どうせ次異動できるし…」という意識を持つことで、ますますそうした業務に取り組もうとしなくなるということですね。

 

 通常業務以外の業務に取り組むことには比較的大きな責任がかかってきます。そのため、異動するまで逃げ切るような形で、そうした業務を回避し続けるわけです。これはまさに、「先送り」という事態を指していると言えるでしょう。

 

 (2)については、構成員が裁量をもってある意思決定を行うけども、その結果が出る頃には当の本人が異動していて責任を問われない、という状況となります。

 すると、見通しの甘い決定、無責任な決定が誘発されることは避けられません。けれども短期間の異動によって、その責任がくらまされるという不届きなことが起こるわけです。

 

 そして、このことが霞が関の中央省庁でしばしば起こっていると指摘されています。中央省庁であるために国民全体への影響も大きい事案で、無責任な決定が行われることにもなっているのです。

 
 このような弊害が生じるところの短期間の異動について、次回はその改善案を探ってみたいと思います。

 

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