平たく解説・公務員心理 「公務員の異動」その1
[今回の心理場面]
組織A:やはりゼネラリストという響きはいい。みんなゼネラリストにしてしまえばいいんじゃないか?
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公務員は、とにかく異動が多いことがよく言われています。そして、それはおよそ悪い意味で…となります。
行政組織として構成員の異動を多くしている理由は、多彩な部署で多彩な経験を積ませるということにあるでしょう。これが、いわゆる一部の業務に特化するスペシャリストではなく、幅広い業務を扱うゼネラリストを目指させようとする意識によるもの、と言えます。
ただ、ゼネラリストというと耳当たりのよい響きがするものですが、行政組織では、このゼネラリストを目指させようとする意識が「過剰」であるように見受けられるのです。
そもそもゼネラリストという位置付けは、一つの部署への在籍期間が短いために、その部署の業務へ表面的にしか習熟できない、業務への責任を十分に持てない、といったデメリットをはらんでいると言えます。
組織での幹部候補の人であれば、幅広い業務を概観していく必要があるため、ゼネラリストとして経験を積むことは必要なものとなるでしょう。
しかし、あまり多くの構成員にゼネラリストの制度を適用してしまうとどうなるでしょう? ゼネラリストの持つデメリットが大きく顔を出すことになってしまいますね。
なので、ゼネラリストの持つデメリットを必要最小限に抑えるため、あくまで限られた幹部候補の人のみにゼネラリスト制度が適用されるべき、となるわけです。
しかし行政組織では、ゼネラリストの意識が過剰であるため、こうした理屈が見落とされるのですね。ゼネラリストのデメリットが組織規模の大きなものとして表れており、構成員の全体が業務への表面的な習熟に終始し、十分な責任を持てないままに次の部署へ異動する…といったことがしばしば生じているわけです。
次回は、行政組織での異動の多さに関する問題点をさらに探っていきます。
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