社会を変化させる社会心理論・組織心理論の考察記

行政職員の筆者による、社会を変化させるような社会心理論、組織心理論がいかなるものか、その考察内容を綴ったブログです。

平たく解説・公務員心理 「縦割り」その3

 [今回の心理場面]
 A市:国の税とうちの税が分かれているのは縦割りだと市民から言われたけど、それは違うのでは…。

 

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  縦割りが、無理な線引きによる業務分担が原因となることを述べてきましたが、この内容から、線引きが明確であればそれは縦割りではない、ということも言えそうです。

 

 市民感覚としては、似たような業務を別々の部署で担当していれば、それらは全て縦割りだと思いたくなる心理がないでしょうか? ただ、そう見えるものの中には、無理な線引きで該当部署を分けているのではなく、明確な線引きでもって該当部署を分けているものもあるわけですね。こうしたものは縦割りとして糾弾するものではないと言えるでしょう。

 

 例えば、各市役所においては市役所ごとに同様の業務を行っていますが、これは行政区域という明確な線引きによって、担当の市役所が分かれることとなるわけです。ここへ、同様の業務なのだから、A市でもB市でのことを手続してほしい、A市とB市で別々に手続しなければならないのは縦割りだ、というのは筋が違うことになりそうですね。

 

 また税の話では、国、都道府県、市町村によって所管する税が異なりますが、そこには行政単位での明確な線引きが行われているわけです。そのため、税の徴収を行う際に、3者から別々に徴収が行われることになるのはやむを得ないものと考えられます。
ここへ、1者がまとめて徴収せよ、それをしないのは縦割りだ、という理屈を通すのは厳しいものとなるでしょう。

 

 縦割りへの糾弾には、該当部署での明確な線引き、無理な線引きのいずれを行っているか見極めることで、糾弾の対象となるものを絞る意識も必要と考えられるところです。

 
 「縦割り」の項は以上となります。次回からは「自己意義の増殖」について述べていきたいと思います。

 


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