社会的な心理考察記

社会に働く心理について考察したブログです。

平たく解説・公務員心理 「割り振り争い」その5

 [今回の心理場面]
 部署A:うちが主担当になったけど、部署Bも副担当だし…うまく押し付けられないかな?

 

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  割り振り争いの解決においては、当該部署の間または横断組織において、割り振りの決断を行うことが根本的に必要となります。ここでは、その望ましい割り振り方について検討を進めることとして、以下見ていきましょう。

 

1.担当の一本化、主担当と副担当での協力
 線引きがあいまいな業務の適切な割り振り方としては、以下の2通りがあるものと考えられます。

 

 (1)権限があいまいにならないよう、1つの部署のみに担当させる形
 (2)お互いの部署を主担当、副担当に分けて、協力して担当させる形

 という形ですね。

 

 この2つの割り振り方ですが、まず割り振り争いが「仕事の押し付け合い」であれば、争っている部署のどちらもがその仕事に対して、できるだけやりたくないというネガティブな気持ちを抱いているものでしょう。

 このような場合に(2)の形を取ると、どうなるでしょうか? おそらく、主担当と副担当という区別がされていても、権限が分散しているという事実のために、そうしたネガティブな気持ちが表れやすくなると想定されます。


 そうすると、自分が主担当であっても「自分だけが責任を取るのは嫌だ」という意識が顔を出し、副担当にも任せたくなる気持ちが生じたりするものです。
 そうするとお互いがお互いに任せてしまうことで業務を放置してしまう、といった消極的な姿勢から抜け出せなくなるわけですね。

 そのため、仕事の押し付け合いについては、1つの部署が担当すべきとすることが原則となり、(1)の形を取ることが望まれるわけです。


 また割り振り争いには、「仕事の奪い合い」により生じるものもあります。これは霞が関の中央省庁でよく聞く話となるのですが、この状況への割り振り方も検討してみましょう。

 

 仕事の奪い合いでは、争っている部署のどちらもがその仕事に対して、できるだけ自分がやりたいというポジティブな気持ちを抱いています。
 中央省庁での政策立案にあたっては、複数の省庁に所管がまたがることも多く、この場合はお互いの省庁が協力して知見を出し合い、良質な政策を生み出すことが必要でしょう。

 

 しかし、この部分に対する割り振りにおいて(1)の形を取ると、1つの省庁における偏った知見のみで政策が作成されることや、担当に加われなかった省庁が不満を燻らせることが生じます。これは望ましくないものですよね。
 そのため、仕事の奪い合いについては、争っている部署を主担当と副担当に割り振って協力して担当させる(2)の形を取ることが望まれるわけです。

 

 ここまで、仕事の押し付け合いと仕事の奪い合いでの望ましい割り振り方について検討してきましたが、次回は、「縦割り」を生む望ましくない割り振り方について述べたいと思います。

 

任せる技術

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