社会を変化させる社会心理論・組織心理論の考察記

行政職員の筆者による、社会を変化させるような社会心理論、組織心理論がいかなるものか、その考察内容を綴ったブログです。

平たく解説・公務員心理 「念のため」その2

  [今回の心理場面]

 上司A:あれもこれも想定問答を用意しておいてくれ。 

 部下B:(こんな細かい質問がされることはあるんだろうか・・回答を準備しても無駄に終わるような気がする。。)

 

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 念のための意識が生まれる背景としては、周りからの意識、要望を受け止めすぎる姿勢があると言えそうです。そして、必要以上に周りからの意識、要望に応えようとする意識を、「感情的な責任意識」という言葉として表したいと思います。

 

 ある仕事への事前準備について考えてみます。
 「何も問題がなければ嬉しい」と仕事相手が期待することはあると思います。しかしそれに忠実に応えようとすると、念のための意識が働くことになります。

 そして、何か一つでも問題のないように準備しようと考える、まさに感情的な責任意識に従った行動が取られることになるわけですね。

 

 しかし、一つでも問題のないように準備をするとなると、どのようなことになるでしょうか?

 それはやはり、構成員にとって時間がかかる上に神経をすり減らしてしまうことが想定されます。

 

 そのため、念のためで事前に準備をしすぎることなく、最低限のリスクには備えるが、想定しないリスクが起きたらそのときに改めて対応策を考える、という姿勢を取るのが適切なのではないでしょうか?

 

 事前準備の例として、ある仕事に係る想定問答を準備することを挙げてみましょう。
 質問に対して、およそ適切に回答ができれば、関係者の間でわだかまりが生じるのを防ぐことができます。

 そのため、想定できる質問とその回答を用意しておくわけなのですが、行政組織では、そうした想定問答を過剰なほど準備しようとするところがあります。すると、質問される可能性の低い内容についてまで、回答を用意することになるわけです。

 しかし、そうした質問への回答がずばり活きるような場面は、そうないのではないでしょうか? そのような回答を準備したところで、構成員の徒労感のみで終わってしまうのが常であるように思えます。

 

 想定問答が全部で10あるとしたら、主なもの4、5つほどの回答を準備することとしておくのが、適正な数ではないでしょうか。

 そして残りの細かい問答については、その質問が出てきたら「持ち帰って後ほど対応する」という形にするとして、それで差し支えはないでしょう。
 しかし行政組織においては、「持ち帰って後ほど対応する」ということが許されないような雰囲気が生まれているようであり、こうした場合に限りなく10の回答を準備しようしてしまいます。これはなんともゆゆしい話だと思います。

 
 今回は念のための意識による弊害として想定問答の話を取り上げましたが、行政組織での念のための意識に伴っては、より重大な弊害として「過剰な信憑性」の追求が生じます。次回はこの話を述べていきたいと思います。

 

リスクにあなたは騙される (数理を愉しむ)

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