社会を変化させる社会心理論・組織心理論の考察記

行政職員の筆者による、社会を変化させるような社会心理論、組織心理論がいかなるものか、その考察内容を綴ったブログです。

理想追求による職務放棄

理想を追求することで現実を放棄するという心理については、なんとなくのイメージはできるかと思う。

「理想ばかり見て現実を見ない」ということだ。
 個々人の考え方においては、往々にして現れる心理だろう。

 

この心理は、個人のレベルであれば、身の回りのことができない愚かさを指すのであり、組織のレベルであれば、通常はこのような愚かさに囚われることはない。
 複数人がいれば、個人レベルで愚かな考えが発生したところで、周りが必死にそれを正すことで、そうした愚かさが削り落とされるのが自然の流れになるからだ。


しかし、行政組織においては、個人レベルのみならず組織レベルとして、こうした愚かさに囚われたという話がある。
 阪神大震災の復興に際して、行政機関において「一部の復興を手助けしたら、全体にとっては不平等になる」という理屈が取られることがあったそうだ。

 

行政機関は社会の全体を平等に取り扱うべきというのはあるが、災害復興においては、当然ながら目の前のできることに尽力するのが基本であり、全体の復興状況を見通したうえでそれぞれへの力のさじ加減を変える、というのは神様でもないとできないことだ。


しかしこうした理屈にのっとって、目の前のできることを放棄したという姿勢のあったことが語られている。

これがまさに、全体を見るという理想を追求することで、目の前で対応できる一部についても放棄してしまうという心理であり、職務放棄につながるものと言える。

こうした姿勢は、怠慢のための口実として理想を語っているに過ぎないものであり、このような心理に気付いたら、断じてそれを排除することが求められるところである。

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