社会的な心理考察記

社会に働く心理について考察したブログです。

地方議員の不正対応について

号泣県議について、様々な不正の疑いが引き続き報道されているが、初期に報道されていた「カラ出張の疑い」と「切手大量購入」について改めて考えてみると、その不正を正す難しさも浮かび上がってくるものであり。。

以下長文となるところをご容赦あれm(_ _)m

拙著「公務員心理15の謎を解く」でも述べているのだが、不正への対応としては、組織的な対策を考える「原因療法」と個人への罰を与える「対症療法」の2つがあるとしている。 そして、その両者のバランスとしては、原因療法を追求し過ぎると組織の自由を奪い能率を落としてしまうので、ある程度までは原因療法を探り、その後は対症療法での対応へ切り替えるのが適切であると考えている。

そして、行政組織の公務員には、原因療法が追求され過ぎるきらいがあるので対症療法への切り替えを行う必要性を強調する必要がある。 ただ地方議員は、明らかに特権的に保護されてきたきらいがあり、公金の支出で領収書を確認していないなど、原因療法がまともに追及されてこなかったと言える。

となると、議員に対してはまずは領収書の確認を厳密に行うなど、原因療法を確立することが必要になる。

冒頭の「カラ出張への疑い」に対しては、領収書(できれば使用済み切符)を正しく徴すればほぼ対応できる。

ただ難しいのが「切手大量購入」のほうであり、もし領収書を正しく徴したとしても、陰のところで業者と結託し領収書を返却せず払い戻しをする、あるいは金券としてどこかで換金する、といったことを行えば、自分の懐に収められるという恐れがある。

ここへ原因療法で対処しようとすると、領収書を徴するだけでなく、陰での払い戻し、換金をできないように、購入した物品を子細にわたるまで厳密に在庫管理する必要がある。 しかしこれは煩雑さが極まるために適切なものではなく、となるとやはりここへは対症療法を用いるのが望ましく、切手を陰で換金して(私的)流用するというのは詐欺罪にあたるものとして、刑罰という対症療法で処罰するのが適切となる。

マスコミでは、切手の払い戻し、換金といった可能性にあまり触れられていないように見えるが、それは原因療法の限界を見てしまうからだと思われる。 しかし、原因療法に限界があるならば対症療法を求めればよいのだとすんなり考え方を切り替えることで、詐欺罪として処罰できることについて、マスコミからも積極的に啓発して頂きたいところである。