業務の引継マニュアルについて
どの組織や部署でも必要な、業務の引継マニュアルについて。
どの組織や部署においても、人事異動というのは避けられないものとして存在している以上、異動での前任後任の間で、業務を適切に引き継ぐことが重要となる。
また、担当者が有給休暇を気兼ねなく使用するために、他者へ業務を代理してもらうことにおいても、業務の引継が重要。
ここで引継マニュアルが整備されていないと、後任の人が一から業務を覚える必要があり、手間がかかるしそれ以上に異動直後の精神的な負担が重くのししかかってしまうことに。
また、担当者が他者へ代理を依頼しにくくなり、有給休暇を取りにくくなることにも。
なので、業務の引継マニュアルを整備することは、社会人として非常に重要なものと言い切ってよいだろう。
しかしやっかいなのが、引継マニュアルを巡っては様々な問題点が生じるもので…
以下、あらゆる組織で頻繁に現れそうな問題点と、対応策を私なりにまとめたものを記してみたい。
・人間心理上、引継マニュアルを雑務として軽視してしまう。
主務ばかりに取り組んで引継マニュアルをどんどん後回しにしてしまうことで、異動の直前になって時間がなく、中身の薄いマニュアルを作成してしまうなんてことも。
→組織として、引継マニュアルの重要性を唱え続け、構成員に意識を根付かせることが必要。
こればかりはシンプルな意識付けしかないような気がする。
・引継マニュアルを詳細なものしか用意せず、他者に業務を代理してもらう際など、詳細な情報を必要としない場面で使いにくいものとなる。
→マニュアルは、詳細版と簡易版に分けて作成する。
後任へ引き継ぐための詳細版、他者へ代理するための簡易版を明確に分けておけば、適切な使い分けが可能となる。
・前任者が自身の慣れた感覚でばかり引継マニュアルを作成し、ところどころ要点が飛ばされていて後任や他者が読んでもわかりにくい。
・前任者が業務のことをあれやこれやと何でも引継マニュアルに書き連ねてしまい、要点がぼやけてしまって後任や他者が読んでもわかりにくい。
→前任の主観に偏って作成されていて、情報の軽重のバランスが取れていないということに。よって、主観の偏りを軽減するために、第三者、特に上司からの検証を得ることが必要。
この上司の検証を得るというのは、拙著「公務員心理15の謎を解く 第二章」の事例7でも、公務員の異動に係る重要点として取り上げている。
→慣れた感覚で要点を飛ばしたマニュアルを作成してしまうことには、自身が業務に習熟していく段階での初心を忘れていない時点から、マニュアル作成に取り組んでいくよう意識付けることも重要。
・引継マニュアルを一度作成しても、後に制度や運用の変更が行われたときに、その変更への対応に追われ、変更についてマニュアルを更新することにまで気が回らずに漏れが生じる。
→制度や運用の変更が行われたときには、マニュアルの更新にまで気を回すような意識付けを行うのが理想であるが、現実的に難しいことを想定して、マニュアルは3ヶ月、半年の1回などで定期的にメンテナンスを行うようにして、変更についてフォローできるようにすることが必要。
・担当者個人では様々な詳細点を把握しきれず、業務内容を網羅した内容を作成するのにも限界がある。
→歴代の担当者でマニュアルを継承し、後任の人が前任から引き継いだマニュアルに追記、修正を行っていくことで、より正確な内容となるよう仕上げていくことが必要。 この点も拙著「公務員心理15の謎を解く 第二章」の事例7でも取り上げている。
おそらく、以上5点がマニュアルを巡る最重要なものかと思われるが、いかがだろうか。。
何よりもまず、引継マニュアルを軽視してしまう人間心理をどないかすることが最重要なのだとは思うが…こればかりはそう簡単なものではなさそうだ(´~`;)